本学は、2009年4月、「論語のふる里」といわれ、近代日本産業の父・渋沢栄一翁の生誕地である埼玉県深谷市に開学した。渋沢翁は商業道徳に論語を導入、また雅号を「青淵」と称したが、その雅号をいただき本学法人名の由来とした。また、本学の設立の第一歩は、人間が人間をケアするという極めて基本的なケアリングの思想を基としたヒューマンケア学部である。より高度なヒューマンケアを提供するためには、ケアする人自身が広い一般教養を要し、人を世話するという奉仕の精神を学び、その自覚を持たねばならない。渋沢翁の語る儒教道徳をもとにした「忠恕のこころ」もこの意味でのヒューマンケアの思想といえる。さらに、創設者は「医は仁術、その心は忠と恕」を座右の銘としており、本学設立にあたってはこれらを実践する人を育てることをその趣旨とした。
「忠(まごころ)」は、古来、自分に対して誠実であることを意味するが、現代における誠実には正しい倫理観をもち、法令や決まり事を守ることも含まれる。「恕(おもいやり)」は他者に向けて思い遣ることで、世界や地域の人々、患者や家族など他者の理解や共感に基づき知識技能を発揮すること、同僚や関係者と意思を通わせ協調協働ができることが含まれる。本学の卒業生は専門領域における知識・技能の基本、応用と実践力を修得するだけでなく、専門職としての「まごころとおもいやり」を身に付け、ひとの健康と幸せにつながる働きや教育研究を行い社会に貢献することができる。
こうした渋沢翁の論語の精神、そして創設者の想いを具現化するとともに、大学の使命・目的達成のための教育・研究の基盤とすべく、本学では、『忠 恕』(まごころとおもいやり)を大学の理念とする。