成人看護学の急性期看護援助論では、「身体的コンフォートケア」演習に引き続き、「心理的コンフォートケア」を実践的に学ぶ演習を行いました。
今回のテーマは、「運動性失語症のある患者とのコミュニケーション」です。学生は看護師役、患者役、観察者役を体験し、それぞれの立場からコミュニケーションの難しさや大切さについて学びました。
患者役は、四肢麻痺があり頸部を動かすことができず、言葉も「あああ……あ」としか発することができない状況で設定されました。患者役の学生には事前に伝えたい内容が示されており、看護師役はその思いを限られた情報の中から探っていきます。
看護師役の学生は、「何かしてほしいことですか?」「ご自身の気持ちですか?」などと一つひとつ確認しながら、患者のニーズや思いを丁寧に探っていきました。相手の反応を手がかりに根気強く関わることで、患者の訴えを理解しようと努めました。
演習後の振り返りでは、看護師役の学生から「相手の思いを理解するためには根気強く関わることが大切だと分かった」「適切な問いかけを考えることが難しかった」といった意見が聞かれました。一方、患者役の学生からは、「伝えたいことが伝わらないもどかしさを実感した」「一生懸命聴いてくれる姿勢があると、あきらめずに伝えようと思えた」などの感想が聞かれ、言語的コミュニケーションが困難な患者の気持ちを理解する貴重な機会となりました。
今回の演習は、声にならない患者の思いを受け止め、安心と尊厳を支えるケアについて考えることを目的として行われました。学生たちは、患者の言葉だけでなく、その人の思いや願いを理解しようとする姿勢の大切さを学びました。相手の立場に立って考え、安心感や安楽につながる関わりを探ることは、本学が大切にするヒューマンケアの実践につながる貴重な学びの機会となりました。